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人はいつでも未知のものを怖れるけど同時に期待もしちゃうんだよCaravan

私は白紙が好きです。
白紙は何を書いてもいいのです。文字でも絵でも、なんなら、何も書かずに放置したっていい。紙飛行機にして飛ばしたっていいし、紙鉄砲を作って鳴らしてもいいし、濡らして意味もなく窓ガラスに貼り付けてみてもいいのです。
そこには自由があります。だから私は白紙が好きです。
ところが、いろいろな人に話を聞くと、白紙は不安になる、という人もいることに気づきました。何をしていいのかわからなくて不安なのだそうです。
自由は喜びと同時に不安も与えるものなのかもしれません。

旅も、似たようなところがあります。
未知のものとの出会いに満ちた旅は、不安と期待がないまぜになったえもいわれぬ感情を呼び起こしますよね。「旅情」というのは、そうした相反するものが渾然一体となった不思議な感情です。
よく人生を旅に例えることがありますが、何が起きるかわからない未来に向かって進んでいくことは不安ではありますが、同時に楽しみでもあるわけです。

キャラバンという言葉を日本語にすると、隊商でしょうか。それとも幌馬車。現代だとトレーラーハウスのような移動式住宅のイメージもあります。
この『Caravan』という曲は、不規則なリズムと不協和音で不安を、非西洋的な音階で異国情緒を表現しているように私には思えます。とくにここでご紹介したボーカルグループNew York Voicesのバージョンでは、不安感を強力に押し流すスピード感があり、高揚感ももたらしてくれます。トータルとして、これこそ「旅情」なのだと言いたくなるような仕上がりではないでしょうか。

小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では、第6章にこの曲が登場します。トラブルに巻き込まれた主人公・相川博美は、デジタル・デトックス状態に置かれます。その彼の頭の中で、記憶から呼び起こされて鳴り響くのが「Caravan」なのです。
先が見えないからこその不安と期待。まさに白紙の状態にいるハッカー探偵は、これからどのような絵を描くのでしょうか。
詳細は、本編でお楽しみください。


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