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「ハッカーになる方法」なんてクソの役にも立たない

世の中に「ハッカーになる方法」的なお題の書籍・記事は数多くあります。
しかし、私は断言します。
ハッカーになる方法を検索し、その記事を見てハッカーになる方法を学ぼうと思っているそこのあなた。あなたにはハッカーになる才能はありません。残念ですが、今すぐに諦めることをおすすめします。

◎ハッカーという「生きかた」

言葉の定義はいろいろありますが、私はハッカーを「生きかた」のひとつであると考えています。ハッカーというのは職業でも技能でもありません。
目の前に転がっている物事の背景を想像し、未知の仕組みへの理解を深め、思いもよらない方法で利益を得ることに喜びを感じる。
これがハッカーという生きかたです。
この「利益」という部分がキモで、だいたいにおいてハッカーが喜ぶ利益というのは「誰も考えなかった方法で得られたちょっとした利便性の向上」であったり、「予想外の手段で実現したいたずら心の充足」であったりするので、直接的に金銭がともなうものではありません。金銭がともなわないので職業としては成立せず、状況によって必要となる技術が異なるために特定の技能と呼ぶこともできません。
このハッカーという生きかたに必要となるのは、以下の3つの才能です。
・独力で課題を見つけて取り組める、飽くことのない好奇心
・誰かが教え導いてくれなくても答えを出せる、問題解決能力
・これらを支える、辛抱強さと集中力

◎商売としての「ハッカー」

中には、ハッカーとしての資質を、直接収入に結びつけようとする者もいます。技術力を売ってまっとうに稼ぐ者も多いのですが、中には不正アクセスをして情報を盗んで売りさばく者や、他人の銀行口座から勝手にお金を引き落とす者など、犯罪に手を染める者もいます。
これが、「ハッカー」という呼び名に犯罪行為のイメージがつきまとっている理由です。最近では、犯罪をおかす者を「ハッカー」、まっとうなハッカーは「ホワイトハッカー」と呼ぶことも多くなっているようです。
社会がコンピューターへの依存度を高めている今、犯罪者ハッカーにとっての商売は、とても実入りの良いものになっています。参考まで、以下に2015年から2016年に流行のきざしを見せている、犯罪者ハッカーの攻撃方法をご紹介しておきます。

・オレオレ詐欺のメール版「BEC(Business Email Compromise)」

攻撃者は、まず企業のパソコンに侵入して、乗っとります。そのPCでやりとりされたメールを解析し、得意先との取引情報を発掘。担当者になりすまして振込先の口座が変更になったと得意先に連絡し、誤った口座に振り込ませてお金を詐取します。企業のCEOになりすまして、経理担当者に送金指示をする形もあります。いずれも、メールだけで相手が本人だと錯覚してしまう人の心理的弱点を突く、攻撃手法です。

・パソコンのデータが人質「ランサムウェア」

攻撃者は、不正プログラムをばらまきます。攻撃メールの添付ファイルを開いたり、改変されたWebサイトを閲覧したりすると、使用者のパソコンに感染します。不正プログラムに感染したパソコンの内部では、保存していたファイルが勝手に暗号化されてしまい、閲覧不能になります。そこに表示されるメッセージは「データを取り戻したければ金を払え」というもの。どうしてもなくせない大切な仕事のファイル、個人的な思い出のファイル、これらを取り戻すには、身代金を払うしかありません。もちろん、払ったからといって、本当にデータが取り戻せる保証がないのも、実際の誘拐事件とそっくりなところです。

◎で、それでもハッカーになりたいの?

そんなあなたには、昔ながらのエンジニアの間でよく言われてきた格言をご紹介します。
「資格を持っている奴ほど使えない」
これは、日進月歩で新技術が生まれ、常に未知の課題に直面し、それを解決しなければならない技術者にとって、テキストを読んで勉強して試験を受けて資格をとる……なんて時間があったら、もっとやるべきことがあるだろう、というニュアンスです。たとえば上記で説明したような最近流行の攻撃手法について学び、対策を考えるとか。
資格で得られるのは、いわば必須の基礎知識です。その知識をどう使うかが問題であり、資格をとっただけでは何の役にも立たないわけです。しかも、今やGoogle先生に質問をすれば、不足している知識はいつでも補うことが可能です。
ネットで調べればわかる知識が頭の中にあるメリットは、課題解決にかかる時間が短縮できるという意味しかありません。
資格をとったことに満足せず、既存の知識を組み合わせて新たなアイデアや価値を創造する努力を続けてください。

で、具体的にどういう努力をすればいいかって?

まずその課題から独力で解決してみましょうかw


4件のコメント

  1. > 「資格を持っている奴ほど使えない」
    んだんだ、俺もそう思う。でも、

    > 世の中に「ハッカーになる方法」的なお題…
    書店で購入しなくてもいいけど、図書館にあったら借りて読んでみておくべきだと思いました。
    相手の出方を知っておけば、こちらの被害を最小限にとどめておく可能性があると
    思っているからです。

    実際借りて読んだりしましたが、「読み物」としても結構面白いですよ。

    気分を害されましたらごめんなさい。居酒屋よしで昔飲んだ間柄ということでご勘弁を!

    • さわっちさん
      コメントありがとうございます。
      「ハッカーになりたい」という人むけの文章ですので、さわっちさんのように「ウイルスが届くと保管しておきたくなる」という達人の方にはやや物足りない内容だったかと思います(^^;)
      もう少し達人向けの記事も増やしていきますので、今後ともごひいきにw

  2. 覚えててくれてありがとうございます。

    >>「ウイルスが届くと保管しておきたくなる」という…
    以前はそうでしたが、もう最近では流石にそれは卒業しました。

    今は、「ウイルスが届くとそれを完全な隔離環境で動作を見守りたくなる(飼育)」です。
    でも、なかなか届くのは少なくなりましたが…
    てへぺろ~

    • 保管から飼育……余計に達人度が増しておりますがな
      先輩、さすがっすw

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