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人は必ず死ぬものだけど簡単には割り切れないよTears In Heaven

中学時代に、私はいじめにあっていました。死にたいと思うほど追い詰められていましたが、いじめを主導していた連中は私をそこまで追い詰めていたとは夢にも思っていなかったでしょう。
優位性を確認するためにマウンティングをしていただけの彼らを、今さら非難するつもりはありません。ですが、私の心に一生消えない深い傷を残した彼らを許すことはできません。その先の人生がこれほどつらいものであるなら、あの日、あの公園の、あの桜の木で、私は首を吊って死んでいたほうが良かったのではないかと思うことも少なくありません。もしも、彼らを名指しして非難する遺書を残して自殺をしていたら、私自身はこの苦しみから解放されて、彼らには一生消えない心の傷をつけてやれたのではないか……そんなことを考えてしまうのです。
私は心が狭く、さもしい人間です。

よく、生きていれば必ずいいことがあるから、生きているだけでラッキーなんだから、という励ましの言葉を聞きます。しかし、それは死のうかと思うほど苦しんでいる人間に対して、無責任で無礼な言葉だと私は思います。たぶん、そういうことを言う人は、苦しんでいる人の懊悩や絶望を理解しようとする姿勢に欠けているのではないでしょうか。
生きていてもいいことなど起こりそうにないと思えるから、悩むのです。未来の明るい可能性を信じられないから、苦しいのです。
そういう人と向かい合った時に、同じ苦しみの経験者として私にできることは、相手の吐き出したものを全身で受け止めてあげることだけです。もしひとつだけ助言をするとしたら、「あなたはたしかにろくでなしだが自分で思っているほどひどくはないと思う」とうことでしょうか。えてして、悩める人は自分の欠点に過敏になるものですから。

さて『Tears In Heaven』です。
これは、親しい者を死によって失った『残された者』の歌です。
誰もがいつかは死にます。残された者は、失ってはじめてその人の存在の大きさを痛感するのです。
と同時に、その人が生きている間にもっと何かしてあげられなかったのかと、後悔と痛恨の念に駆られます。
少なくとも両親に対してそのような思いをさせずに済んだことが、私にはわずかな救いです。

小説『ハッカー探偵と魔剣テュルフング』では、この曲がエピローグに登場します。
苛烈な戦いの末にたどりついた結末。得られたものと喪ったもの。こうしたすべてを抱えて、主人公たちは新たな一歩を踏み出します。
ノンストップのハッカー・エンタテインメント小説、ぜひお楽しみください。

かねがね金がねえんだよI Can’t Give You Anything But Love

昔の言葉で「色男、金と力はなかりけり」なんてものがあります。この言葉の由来は江戸時代らしいのですが、もはや現代にはあてはまりませんね。
親の経済格差が子供に受け継がれる時代です。金持ち男は美女をつかまえて結婚。生まれる子供の遺伝子の半分は美人の遺伝子ですから、きれいな子供が生まれる可能性も高い。これを何世代か繰り返せば、血統書つきの色男の完成です。お金のかかるジムに通って体をビルドアップすれば、金も力もある色男に仕上がります。
一方、貧しい人間は安価で高カロリーな食事をするしかありません。したがって、貧困層ほど肥満が増えるという、なんとも奇妙な状況が生まれています。
そんな現代にあてはめて言い換えると、「醜男は、金も力もなかりけり」といったところでしょうか。
私に完全にあてはまりますw

話は変わりますが、ギリシア神話に出てくる「パンドラの箱」の話をご存知でしょうか。
ありとあらゆる災厄が封じ込まれた箱を、パンドラが開けてしまいます。それにより、この世界にはさまざまな災厄があふれだして広がってしまった、という話です。この箱の中に最後に残っていたのが「希望」です。
この話、私は歴史の勉強をするまで「世界は災厄に満ちているが幸福になれる希望はある」という意味に受け取っていました。しかし、そもそも「災厄が封じ込まれた箱」の中に、なぜ希望が入っていたのでしょうか。
諸説あるのですが、「希望こそが最後の災厄」であると考えることもできるわけです。根拠のない希望は、ときに努力をしない理由に使われます。たとえて言うならば、胴元が儲かることはわかりきっているのに、宝くじや競馬、パチンコといったギャンブルにはまるようなものです。「今回は当たりそうな気がする」という根拠のない希望を抱き、もっと有意義なことに投資すべき資金や時間を費消してしまうわけです。
いや、別に、ギャンブルを否定する気はありませんよ。古代から続くもっとも古い商売のひとつですから、人間の本性に強く結びついたものなのでしょう。なくせるはずがありません。

さてさて。
この世界には、希望があります。それが幸か不幸かはみなさんの判断におまかせしますが。
金も力もない醜男でも、希望があるから生きていられるのです。私の場合、それは、いつか金でも力でも美醜でもない価値基準で評価されるはず、という希望です。
お金はないけれど愛だけはいっぱいあるよ、と歌う「I Can’t Give You Anything But Love」は、まさにそんな私の希望にぴったりの曲です。

トニー・ベネット&レディー・ガガのバージョンでお届けしました。
この曲は、小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」の第7章で登場します。危機に次ぐ危機の中で主人公たちが見いだした希望は、果たして災厄としての希望でしょうか、それとも?
怒涛のクライマックス、本編でぜひお確かめください。

人生には遊びが必要だが5分じゃ足りないだろTake Five

アイデアの源泉はどこにあるのか? そんな話を、以前仕事でお会いした漫画家の寺沢武一先生にお聞きしたことがあります。
寺沢先生は「適当なキーワードを書いた付箋紙を床にばらまき、そのキーワードたちを俯瞰していると、ある瞬間に無関係なはずの複数のキーワードがつながって、アイデアとして形になる」というようなことをおっしゃっていました。
一見すると無関係なことも、いつかアイデアを生み出す材料になりうる、ということですね。
だからこそ、人生には遊びや無駄が必要になるのでしょう。その瞬間には無駄でも、どこで意味をもってくるかわかりません。物語でいうところの「伏線」みたいなものかもしれません。

さて、「Take Five」という曲は、その特徴的な4分の5拍子でよく知られている曲かと思います。3拍子+2拍子のつくりで、ちょっとつまずくような不規則感が漂うリズムが印象的です。その不規則感からかもしだされる雰囲気に、私は心がざわつくような気分になることがあります。
私はサックスが旋律を吹く「Take Five」しか聴いたことがなかったのですが、ちゃんと歌詞もついているのですね。
気になる人とお近づきになりたくて、5分だけでいいから立ち止まって……。
そんな恋心を歌った歌詞になっています。当初は、心ざわつく5拍子のリズムにはそぐわない歌詞だと思っていたのですが、聴いているうちに次第にしっくりしてくるから不思議です。
きっと、まだ始まっていない恋が醸し出す、未来がどう転ぶかわからない感じが、不安定なリズムとマッチするのでしょう。

それにしても、この歌詞のお相手は、本当に余裕のない生き方をしているようで、心配になりますw
脇目もふらずに目的地へまっしぐらな感じです。5分だけでも……といいますが、それではきっと足りませんよね。1日か2日どかっとまとめて遊んで、無駄を補充してほしいところです。

JUJUさんが歌う「Take Five」です。
ちょっと気だるく歌う感じが、なんとも色っぽいですね。そんなふうに言われたら、私なら1週間でも1ヶ月でも一緒にいてあげたくなってしまいます。あ、そもそも私は無駄ばかりの人生を歩んできましたので、そろそろ何かしらの結果を出したいところですが(^^;)

小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では、第6章でこの曲が登場します。謎に包まれた「テュルフング」の正体を暴くために力を尽くす主人公たち。しかし、その答えを見つけたときにはすでに、危機のカウントダウンは始まっていました。
物語のクライマックスに向けて最高にざわつく瞬間には、やはりざわつく5拍子の曲が似合いますね。

人はいつでも未知のものを怖れるけど同時に期待もしちゃうんだよCaravan

私は白紙が好きです。
白紙は何を書いてもいいのです。文字でも絵でも、なんなら、何も書かずに放置したっていい。紙飛行機にして飛ばしたっていいし、紙鉄砲を作って鳴らしてもいいし、濡らして意味もなく窓ガラスに貼り付けてみてもいいのです。
そこには自由があります。だから私は白紙が好きです。
ところが、いろいろな人に話を聞くと、白紙は不安になる、という人もいることに気づきました。何をしていいのかわからなくて不安なのだそうです。
自由は喜びと同時に不安も与えるものなのかもしれません。

旅も、似たようなところがあります。
未知のものとの出会いに満ちた旅は、不安と期待がないまぜになったえもいわれぬ感情を呼び起こしますよね。「旅情」というのは、そうした相反するものが渾然一体となった不思議な感情です。
よく人生を旅に例えることがありますが、何が起きるかわからない未来に向かって進んでいくことは不安ではありますが、同時に楽しみでもあるわけです。

キャラバンという言葉を日本語にすると、隊商でしょうか。それとも幌馬車。現代だとトレーラーハウスのような移動式住宅のイメージもあります。
この『Caravan』という曲は、不規則なリズムと不協和音で不安を、非西洋的な音階で異国情緒を表現しているように私には思えます。とくにここでご紹介したボーカルグループNew York Voicesのバージョンでは、不安感を強力に押し流すスピード感があり、高揚感ももたらしてくれます。トータルとして、これこそ「旅情」なのだと言いたくなるような仕上がりではないでしょうか。

小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では、第6章にこの曲が登場します。トラブルに巻き込まれた主人公・相川博美は、デジタル・デトックス状態に置かれます。その彼の頭の中で、記憶から呼び起こされて鳴り響くのが「Caravan」なのです。
先が見えないからこその不安と期待。まさに白紙の状態にいるハッカー探偵は、これからどのような絵を描くのでしょうか。
詳細は、本編でお楽しみください。

時間だけが心の傷を癒してくれるなんて大嘘だよSweet Memories

人間には「忘れる」という能力があり、時間がたつにつれて心の傷の痛みは薄れていく……なんて話を聞くことがあります。
が、実際には忘れているわけではなく、記憶が表層に浮かび上がってこないだけと言いますよね。認知症の人の記憶も、脳内に残っているのに、引き出せなくなっているだけなのだ、と。実際、トラウマになった出来事の記憶は、時間の経過にともなってフラッシュバックして蘇ってくる頻度は減ります。しかし、ひょんなきっかけで突然記憶が蘇り、心のやわらかい部分を鋭く刺します。その痛みはかつてとおなじく鮮明で、人を苦しめます。
常々、こうした負の記憶をピンポイントで消す技術ができないものかと夢想したりするわけですが、実際には苦い記憶だけを選択的に消すことは難しいでしょう。

苦くて甘い記憶を歌った『Sweet Memories』です。歌うのは、シンガポール出身の女性歌手、オリビア・オン。やわらかくささやくような歌声は、記憶の苦さをやわらげてくれるような気がしませんか?
小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では、第5章に登場します。失意のヒロイン・田上希美香が、癒しを求めてオリビアの歌声に耳を傾けます。
ヒロインは過去のトラウマと向き合い、事件解決のために再び立ち上がることができるのでしょうか。
って、エンタメ小説ですから、ちゃんと立ち上がりますよ。立ち上がって、敵と全力で戦って、そして……まさか? えっ! そんなことが!? という驚愕の展開が待っているわけですがw

ヒロインの戦いと活躍は、ぜひ本編でお確かめください(^^)

小説『ハッカー探偵と魔剣テュルフング』はAmazon Kindleストアで好評販売中です。

そこまで熱烈に想われたら本望ですが何か? Every Breath You Take

『Every Breath You Take』といえば、The Policeの有名な曲ですが、歌詞をよくよく見るとストーカーじみていて怖かったりします。
——君が何をしていても私はずっと君を見ているよ——
そんな歌なのですね。
熱烈な愛情は、相手が受け入れれば美談ですが、受け入れなければただの犯罪です。
まあ、「いい人だけどどうでもいい人」地獄にとらわれの身である私からすると、それほどの強い感情を向けられることには、たとえ犯罪的であっても憧れがありますが(^^;)

歌い手はSHANTI。声の良さもさることながら、ここでは彼女の歌のうまさがわかるライブバージョンをご紹介しました。
小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」の第4章においては、ジャズ喫茶のマスターがオススメの美女ジャズとして主人公にこの曲を聞かせます。
主人公は歌詞の強い愛情という側面に注目しますが……。

I’ll be watching you(ずっと君を見てる)

そんな怖いセリフが繰り返し登場する歌の世界観そのままに、陰謀の核心に近づきすぎた主人公はこの時すでに見張られています。
主人公に迫る魔の手。世界を危機に陥れる魔剣の正体とは!?

この後、物語は急展開を迎えます。
多くの寝不足者を生み出した怒涛のノンストップ・ストーリーをお楽しみください(*^^*)

おかしなあなたが好きなの、そのままでいて。なんて言われたらイチコロだよMy Funny Valentine

人は誰もがコンプレックスを抱えています。外見的なこと、心理的なこと、嗜好的なこと、それらの合わせ技、よりどりみどりのコンプレックス天国です。
コンプレックスの問題点は、基本的にそれが解決不能だということです。裕福であれば、外見のコンプレックスは整形手術で解決できそうに思えるかもしれません。が、実際には仕上がりに満足できずに整形手術を繰り返し、はたから見ているとどんどん妖怪じみた外見になっていくのです。そんな実例、みなさんも見たことありますよね?(笑)
コンプレックスを乗り越えるのに本当の意味で役立つのは、他者からの承認であると私は思っています。
瑕疵があってもそのままでいいんだよ、と言動で示してもらえる。自分で思っているほどあなたの短所は深刻な問題じゃないよ、と伝えてもらえる。長所と短所を理解された上で、すべて受け容れてもらえる。
それが、コンプレックスに苦しむ心の平穏につながると私は思うのです。

そこで、『My Funny Valentine』です。
ジャズのスタンダードナンバーの中でもトップクラスの、熱烈な愛の歌だと私は思っています。
女性が恋人の外見をこき下ろしながら、それでも大好きだから変わらないで! という内容。歌詞を読み込めば読み込むほど、この二人の関係性がなんとも微笑ましく、そこまで想われるヴァレンタインさんにちょっとうらやましくさえなってしまいます。

小説『ハッカー探偵と魔剣テュルフング』では、ヒロインが主人公の長所と短所を並べたてて、すべてわかった上で許容していることを告げます。
主人公、イチコロですw
そんな主人公とヒロインの関係に変化が起きた直後に、ジャズ喫茶で流れているのが、まさにこの曲。作中ではカーメン・マクレエの歌でした。

なんとも艶っぽい歌声で、いいですよね。
これはこれでいいのですが、もう一歩進めてみたいと思います。
「こんな素敵な人に長所短所ぜんぶひっくるめて受容されたい!」というバカな男の願望を満足させる、とっておきの美女ジャズです。
ホランド・マリア・グロスマンという方が歌う、ビジュアル重視の『My Funny Valentine』がコチラ。

歌声は素直で透明感のある感じ。自分の名前がヴァレンタインだと思って聴くと、ドキドキしてきませんか?
……本当は自分だけのためにこういう事を言ってくれる人が現れると最高なんですけどね。いないものはしょうがありませんな(^^;)

さあ。歌に勇気づけられたので、今日も孤独を乗り越えてがんばるぞーw

El Choclo? Kiss Of Fire? それがどうした、と言わんばかりのピアソラ・マジック

「El Choclo」といえば、誰もが一度は耳にしたことがあるタンゴの名曲。タイトルの意味は「トウモロコシ」と意味不明な感じですが、タンゴのリズムに魅入られたタンゴ廃人が、主食であるトウモロコシと同じように愛する曲である……という意味だといいなあと妄想しております(^^)
この曲には歌詞が複数あり、英題「Kiss Of Fire」としても広く知られています。

それにしても、この当時の著作権事情は、どうなっていたのでしょうか。曲を利用して歌詞をつけかえる、ということがおこなわれていた曲は他にもあり、著作権がどのように扱われていたのかが作り手の立場としては気になります。
ニコ動みたいに、あまり権利を主張したりせずにおおらかにコラボをしているような気分だったのかもしれませんね。

さて、この「El Choclo」ですが、先にも書いた通り、タンゴの名曲です。
そして、タンゴといえばやはり、アストル・ピアソラ大先生でしょう。
今からもう20年前くらいでしょうか、チェリストのYo Yo Maがフィーチャーして有名になったアルゼンチンのバンドネオン奏者ですが、この時のアルバム「Yo Yo Ma Plays Piazzolla」の中身を聴けば大先生のすごさがよくわかります。
非常に申し訳ないのですが、世界的チェリストなど存在しないも同然。すべてピアソラ大先生のバンドネオンに持っていかれて、まあチェロはだれが弾いても一緒かな、という気分にさせられます。
それだけのインパクトのあるピアソラ大先生の演奏は、一言で表現するならば「遊びが多い」という感じでしょうか。本来の旋律とは関係のない音を混ぜて全体をきらびやかに飾っています。
キレのいいスタッカートで思わず体が動いてしまうようなグルーヴ感を生み出したかと思えば、突然バンドネオンの音色をじっくりと聴かせるテヌート中心の奏法に切り替える……この変幻自在な感じこそ、大先生のすごいところです。

と、音楽を言葉で語っても無理がありますので、ご紹介しましょう。
アストル・ピアソラの「El Choclo」です。

はい。「El Choclo」だろうが「Kiss Of Fire」だろうが、著作権がどう扱われていたのかなんてまったく気にならないこの演奏、ただただ「ピアソラ大先生!!!」としか表現できなくなってしまいます。
まさに、ピアソラ・マジック。

小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では、第3章で私立探偵の丹羽がリクエストします。この日を境に、彼らが直面している事件がすこしずつ違う側面を見せ始めます。「魔剣テュルフング」とは何なのか? 謎が謎を呼び、物語は急展開を迎えるのですが……っと、この先は本編をお楽しみください(^^)

私、最近おセンチなの。などと死語をつぶやきたくなるIn A Sentimental Mood

おセンチって言葉、聞かなくなりましたね。私の少年時代ですら古くさい言葉だったので、もはや完全に死語と言っていいでしょう。
あ、知らない人のために言っておくと、「おセンチ」とは英語のSentimentalから派生した言葉で、「感傷的」な状況をあらわします。英単語の頭3文字をとって、そこに「お」をつけるなんて、なんとも日本的な発想ですね。

さて、この「In A Sentimental Mood」は、デューク・エリントン先生が作曲した曲です。一説には、彼は母の死をいたんで作られたのだとか。そりゃあ、母親が死んだら、だいたいの人は感傷的になりますよね。
で、このしっとりと感傷的な曲が人気となり、歌詞がつけられました。ところが、この歌詞がくせものでした。
どこをどうとっても、熱烈に誰かに恋い焦がれている人がその想いを相手に受け入れられて喜んでいる、というものなのです。感傷的なことなんてちっともありません。
実はこれ、Sentimentalという英単語の意味に起因するようです。この単語には「感傷的な」という意味のほかに、「情緒的な」とか「感情的な」といった意味があるのです。

好きな人に自分の気持ちを受け入れてもらえた、あの感情。うれしくて、でもちょっと気恥ずかしくて、その人のそばに飛んで行きたくて、でもできなくて、そんなもやもやとした感じです。
経験したことのある方なら、わかりますよね(*^^*)
その感情がSentimentalなのです。

しかしながら、「情緒的」な歌詞が乗るには、いささか曲調が暗いと思いませんか?
なんだか、そぐわないんですよねー。
私、この歌の歌詞にあるような感情とはとんとご無沙汰しておりまして、そのせいで理解できないのでしょうか(^^;)
だいたい、人からは性別つきでは相手にしてもらえない仙人状態、社会人としてもふらふらしながら売れもしない小説を書いているだけの、ダメ人間なわけですよ私は。

ををっと、ちょっとおセンチになりすぎました(^^)

そんなわけで、サラ・ボーンの「In A Sentimental Mood」です。
小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では第3章「Risk Of Fire」の冒頭で、ジャズ喫茶の店内に流れています。そこに新たな依頼人が登場するわけですが、その依頼から物語は急展開を迎えます。
さて、ハッカー探偵・相川博美の運命は?

夢では飛んだことはあるがリアルでも飛びたいからFLY AGAIN

私、夢ではよく空を飛んでいます。
走っているうちに一歩ごとの着地までの距離が伸びはじめ、やがて高さも伸びて、しまいには送電線を飛び越えるくらいの飛躍をします。
とても気持ちいいのですが、夢は夢。現実世界では、やはり私の体は重力に縛られております(^^;)

さて、そんなわけで、MAN WITH A MISSIONの「FLY AGAIN」です。

疾走感というか、飛翔感というか、そんなものが感じられる一曲ですね。
小説『ハッカー探偵と魔剣テュルフング』では、第2章で女子高校生が好きな曲としてこの曲を挙げます。
誠に残念ながら現代の女子高校生がどんな音楽を好きなのかを知る機会はなく、私は想像するだけです。ぱっと思いつくのは、EXILEかその系列の何か、ジャニーズのどれか、セカオワ、同世代受けしそうなガールポップ、もしかしたらアニソン? といったあたりでした。
しかしながら、この女子高校生の登場人物「渡辺ほのか」はちょっとワケアリでして、学校をサボってジャズ喫茶に入り浸るような変わり者です。クラスではすこし浮いていているので、ちょっとスパイスの聞いたアーティストが好きなのではないかな、と想像した次第です。
オオカミの被り物という意味不明な演出をしながら、意外にもロック魂のこもった楽曲。きっとほのかちゃんも、この曲に乗って飛びたいと思っているに違いありません(^^)