アイデアの源泉はどこにあるのか? そんな話を、以前仕事でお会いした漫画家の寺沢武一先生にお聞きしたことがあります。
寺沢先生は「適当なキーワードを書いた付箋紙を床にばらまき、そのキーワードたちを俯瞰していると、ある瞬間に無関係なはずの複数のキーワードがつながって、アイデアとして形になる」というようなことをおっしゃっていました。
一見すると無関係なことも、いつかアイデアを生み出す材料になりうる、ということですね。
だからこそ、人生には遊びや無駄が必要になるのでしょう。その瞬間には無駄でも、どこで意味をもってくるかわかりません。物語でいうところの「伏線」みたいなものかもしれません。
さて、「Take Five」という曲は、その特徴的な4分の5拍子でよく知られている曲かと思います。3拍子+2拍子のつくりで、ちょっとつまずくような不規則感が漂うリズムが印象的です。その不規則感からかもしだされる雰囲気に、私は心がざわつくような気分になることがあります。
私はサックスが旋律を吹く「Take Five」しか聴いたことがなかったのですが、ちゃんと歌詞もついているのですね。
気になる人とお近づきになりたくて、5分だけでいいから立ち止まって……。
そんな恋心を歌った歌詞になっています。当初は、心ざわつく5拍子のリズムにはそぐわない歌詞だと思っていたのですが、聴いているうちに次第にしっくりしてくるから不思議です。
きっと、まだ始まっていない恋が醸し出す、未来がどう転ぶかわからない感じが、不安定なリズムとマッチするのでしょう。
それにしても、この歌詞のお相手は、本当に余裕のない生き方をしているようで、心配になりますw
脇目もふらずに目的地へまっしぐらな感じです。5分だけでも……といいますが、それではきっと足りませんよね。1日か2日どかっとまとめて遊んで、無駄を補充してほしいところです。
JUJUさんが歌う「Take Five」です。
ちょっと気だるく歌う感じが、なんとも色っぽいですね。そんなふうに言われたら、私なら1週間でも1ヶ月でも一緒にいてあげたくなってしまいます。あ、そもそも私は無駄ばかりの人生を歩んできましたので、そろそろ何かしらの結果を出したいところですが(^^;)
小説「ハッカー探偵と魔剣テュルフング」では、第6章でこの曲が登場します。謎に包まれた「テュルフング」の正体を暴くために力を尽くす主人公たち。しかし、その答えを見つけたときにはすでに、危機のカウントダウンは始まっていました。
物語のクライマックスに向けて最高にざわつく瞬間には、やはりざわつく5拍子の曲が似合いますね。