私は、基本的にホラーというジャンルは好きではありません。読んでいて「怖い」と感じるのは構わないのですが、それはあくまでも物語のスパイスであり、主役たり得ないと思っているからです。怖さを感じさせることが目的で怖いシーンを書かれると、読んでいても不快なだけでちっとも面白みを感じられません。
そんな極度の臆病者である私が満足したホラー小説、気になりますよね?(^^)
スティーヴン・キング『ゴールデンボーイ』
第二次世界大戦中のナチスや強制収容所について興味を持つ少年。近所に住む老人がナチスの生き残りであることを知った少年は、老人から戦時中の残虐行為について話を聞くうちに……。ゆっくりと、しかし確実に壊れていく人間の姿を描いた問題作です。
誰しも、暴力的な衝動はどこかに抱えているものです。それが、ほんの些細なきっかけで歯止めがかからなくなっていく様子がショッキングです。
主人公の少年と一緒に読者自身も壊れていくような錯覚を、お楽しみください。
貴志祐介『クリムゾンの迷宮』
主人公の青年が意図せずに突如巻き込まれてしまったリアル・サバイバルゲーム。血に酔った他の参加者に追われる怖さ満載の、デスゲーム小説です。
デスゲームを扱った作品は多数ありますが、基本的にはすべてが同じ構造です。主人公は、最後まで生き残る。そんなわかりきった展開を飽きさせずに読ませるには、作者としてかなりの工夫が必要です。
この作品のキモは、なんといっても主人公を追ってくる敵。デスゲームに身を置くうちに、どんどん狂気の度を増していく追手、めちゃめちゃ怖いです。
以上、おためしあれ(^^)