「どうしたら◯◯になれますか?」という質問を耳にすることがあります。
医師、弁護士、調理師など、特別な資格を取得しなけれは就けない職業はいろいろあります。
しかし、資格が必須条件ではない仕事に関して言えば、需要があるかどうかを別にすれば、人はどんな仕事でも就くことができるのです。
だから、小説家になる方法を尋ねられた場合の最高にシンプルな答えは、ただひと言。
「書け」
そもそも、◯◯家という職業は、商売というよりは生き方に近いものだと私は思っています。
それが商業的に成功するかとは別問題として、物語を妄想せずにはいられない人、それを表現したくてしょうがない人、その手段として小説を選んだ人は、すべて小説家なのです。
誰に断る必要もなく、誰にたずねる必要もありません。ただ創作衝動に忠実に、書き続ければいいのです。
というだけではあまりにも素っ気ないので、小説家に求められる資質をいくつか紹介しましょう。
小説家になる方法その1「粘着」
1日1枚書き続ければ、1年で365枚の作品を生み出せます。もとより、小説執筆は数日で答えがでるような性質のものではありません。言い訳せず毎日続けるしつこさが重要です。
生き方として書くということは、生きている間は書き続けるということなのです。
小説家になる方法その2「厚顔」
目標とするような小説家は、誰にでもいると思います。その人の作品と比べて、あなたの作品は比較するのも失礼なくらいヘタクソです。生きているのが恥ずかしくなるくらい、つまらないのです。
しかし、誰でも最初はヘタクソです。上達するには、たくさん書いて試行錯誤を重ねるしかありません。
うまくなるまでゴミのような作品を量産する、売れていようがいまいが自分は小説家だと言い切る、そんな面の皮の厚さがあなたにはありますか?
小説家になる方法その3「無恥」
残念ながら、作品は書きあげておしまいではありません。人の目に触れて、内容が読者に伝わって、ようやく完成です。
もちろん、最初は自分の意図したことがまったく伝わらないことでしょう。上達の唯一の道は、他人に見てもらって、欠点をたくさん指摘してもらい、次回作への糧にすることです。
ゴミのような作品、自信のない作品でも、人目に触れさせることができる恥知らずになりましょう。
小説家になる方法その4「ガサツ」
書く以上、それなりのこだわりを持ち、読者に対して失礼にならないよう真摯に向かい合うのは当たり前ですね。これは、どんな仕事でも同じだと思います。
問題は、あまり真面目になりすぎると、ディテールが気になって書けなくなることです。でも実際は、書き手が気にするほど読者はディテールを気にしていません。
ま、いっか。あとで直そう。今はこのまま進んじゃえ。
と割り切って書き進めるガサツさは、とても重要です。
以上です。
こうして見ると、粘着で厚顔無恥でガサツだなんて、ほんっとろくでもない生き物ですね、小説家ってやつは。
あ、もちろん、私がそういうタイプの人間だというだけで、世の中にはもっと真っ当な小説家もいると思いますよ(^^)